オードパルファム ―THE DATES― 

Dr. Vranjes Firenze の創設者であり、調香師である、Dr. Paolo Vranjes は常々、香りによって蘇る記憶ほど、感情を揺さぶるものはないと言っています。
自らの人生の大切な「日付」―Date―とそれにまつわる香りの記憶を、5 つのオードパルファムに仕上げました。

Paolo Vranjes によるボディ用のフレグランス、オードパルファムの発売は、国内初。
これまでの Dr. Vranjes のルームフレグランスとはまた違った、彼の人生観あふれる香りの世界を、誕生ストーリーと共にお楽しみください。


28 GENNAIO ヴェントット ジェンナイオ

IL CUORE 〈ハート〉

感情や情動、感動は、人生の糧となるものです。
感動で心が動く時、胸を打つ鼓動のおかげで人生は存在するのではないかとさえ感じます。
ある特別な女性と出会いが私の人生を変え、幸運をもたらしてくれました。
私の妻、アンナ・マリアです。
偉大なる男性の傍らには必ず偉大な女性の存在がある…これは疑いのない真実ではないでしょうか。
このフレグランスは、私の〈ハート〉そのもの―アンナ・マリアーを表現しています。
花々、果実、木々の香り、大地の香り、草の香り…全ての香りの、最も繊細な部分と最も鮮烈な部分のコンビネーションが生み出す、純粋なエナジーを閉じ込めているのです。
トップノートは、貴重な芯の部分だけ使用したローズやイランイラン、スズラン、フリージアなど数々の花々が芳しい繊細なフローラルノート。そこに神秘的なムスクやアンバーが重なり、香りに奥行きを与えています。ミドルノートはオレンジやベルガモット、そしてプラムやブラックカラント、カシスといった果実の香りが、フローラルノートとのコントラストを生み、僅かに加えられたパチュリのアーシーノートに溶け込んでいきます。最後に香りを完成させるのは、トンカビーンズやタバコのアロマです。香りに温かみとまろやかさを加え、女性らしいたおやかさを表現しています。


9 FEBBRAIO ノーヴェ フェブライオ

L’ORIGINE〈根源〉

私に、クリエイティビティ―という人生の宝、人生の土台を築くこと、人生の本当の価値とはなんなのか、正しい人間であることや、勤勉であること、そして決してあきらめず、粘り強くチャレンジすることの大切さを教えてくれたのは父でした。
多くは語りませんでしたが、男たるものがどう成長すればいいのかを、その生き様で伝え遺してくれました。
遥か遠い記憶ですが、穏やかで温かな父との思い出は、いまだに鮮明に蘇ります。在りし日の父への思いを、明るくフレッシュなシトラスノートと、力強く奥深いオリエンタルなウッディノートという対照的な香りを調和させることで表現しました。
カラビリアンベルガモット、マンダリン、シチリア産のオレンジといった生きいきとしたシトラスノートを、サフランやシナモン、コリアンダーなどのスパイスがしっかりと支え力強さを与えています。そこにバーボンバニラ、サンダルウッド、ナツメグの花(メイス)、クオイオ(革)の深みと重さがかさなりあって、プレシャスなスパイシーノートに仕上がっています。


17 AGOSTO ディチャセッテ アゴスト

L’ENFLEURAGE〈アンフルラージュ〉

アンフルラージュとは、古くから代々伝えられてきた、花から香料を抽出する技法です。たいへん手のかかる技法ですが、芳香成分を高い純度で抽出することができるだけでなく、花の非常に繊細な成分も抽出できるのです。
アンフルラージュと名付けたこのフレグランスは、孫娘のオリンピアが生まれた時の感動と喜びを表現しています。私は生まれたばかりの孫娘を初めて抱いたときに、壊れてしまいそうなほどにあまりに柔らかで繊細なその感触に、幸福感と深い感動を覚えたのです。その感動を、神秘性さえ感じさせる繊細なアンフルラージュという技法に重ねて、香りで表現しました。
ジャスミンやアイリス、スズランの甘く軽やかな香りに、耽美なイランイランと、オレンジの花のナチュラルで素直な香りが重なります。やわらかさと同時に、印象深く記憶に残る香りです。
まず最初に優しく香るのは、繊細なジャスミンをベースに、テュベローズ(月下香)やスズラン、ローズなどの芳しいフローラルノート。そこにオレンジの花やアイリス、甘美なイランイランの香りが溶け込みます。ラストノートはこの香りを支えるマダガスカル産のバニラとタンジェリンの甘さ。香りがふんわりとふくよかに、丸みを帯びて広がります。


7 SETTEMBRE セッテ セッテンブレ

L’UNIONE〈絆〉

パルファムを生み出す作業というのは、シンフォニーを作曲するのに似ています。
すべての香りがその背景とともにそれぞれ共鳴しあい、ハーモニーを奏でるのです。
結婚もそれに似ています。二人の様々な要素が寄り添いあい、補い合い、そして完璧なバランスでひとつになるのです。まるで錬金術のようで す。私たちの結婚した日は、そういった意味で私にとって本当に特別な日です。センシュアリーでフェミニンなエッセンス、アンバーが、男性的で強い個性を持つサンダルウッドやウードへと溶け込んで、永遠にひとつになるのです。
ジャスミンやスミレなどの女性的なフローラルノートにしっかりと重なるのは、香りの基調となるアンバー、アイリス、そして沈香と呼ばれる貴重な香木ウード。そして最後にクローブやサンダルウッド、大地を感じさせるパチュリなど、深く量感を感じさせる香りへと変化していきます。フェミニンノートとマスキュリンノートが美しく調和しながらひとつのハーモニーを生んでいます。


19 SETTEMBRE ディチャノーヴェ セッテンブレ

L’EGO〈私〉

ひとの性質というものは、同じ DNA の型をもつ父方の遺伝子の影響を色濃く受け継いでいくように思います。どんな子供も、少なからず家族、血族の歴史、型というものの影響を受けて自らのパーソナリティーを形作ってゆくのではないでしょうか。
オリエンタルな香木ウード、シダーウッド、サンダルウッドにまつわる香りの記憶。そしてまだ見ぬ、未知の世界への私の果てしない好奇心を掻き立てる、アンバーやミルラのエッセンスを私のパーソナリティーを表現するものとして使用しました。
トップノートのオレンジの花やレモンなどの柑橘類、ラバダナム、サフランが織りなす独特なハーモニーに重なるのは、パチュリやアンバー、ミルラ。そして香りのベースとなるのは、シダーウッド、サンダルウッド、そして古来金にも匹敵するといわれた希少な香木ウードの奥深いウッディノートです。繊細で複雑なオリエンタルノートが、香りへの探求の旅へといざないます。